水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

2026-01-06から1日間の記事一覧

時間研究所 第3回

その夜は家事があったから、ゴミの一件のことは一端、忘れてしまっていた。床に着き、仰臥(ぎょうが)の姿勢で瞼(まぶた)を閉じると、ふと私自身の手抜かりに思い当たった。悟君が貼り紙をしているとき、そうだ……。あのとき、何故はっきり、何日からと確認し…

時間研究所 第2回

「どちらさんですか? …」と、その影に声をかけると、薄闇から声が返ってきた。小堀さんだった。瞬時に、あの件か…と私は思った。「お疲れのとこ、すんまへん。二組の小堀でんにゃが、ひと言だけ言わせて貰おうと思おて待ってましたんやけど…」 私は幾らか動…

時間研究所 第1回

表玄関で私を呼ぶ、男の掠(かす)れた声がする。 「正夫(まさお)はん、正夫はん、…いやはらしまへんか?」 恐らくは篠原(しのはら)悟(さとる)だろうとは思うのだが、今更、どういう料簡(りょうけん)できたのだろうか? 夜分、それも深夜にやってきた訪問の意…