リビングのソファに腰を下ろし、岩口が目を閉じて酔いを醒ましていると、美登里が入ってきた。
「はい、お水…」
岩口が朧げに瞼を開けると、目の前にはトレイに水コップを乗せて持つ美登里が立っていた。
「ああ、有難う…」
喉が渇いていたこともあり、岩口は水コップを手にすると一気に飲み干した。少し酔いが遠退いたように岩口は感じた。
「大変ね…」
「毎年のことだから別に苦とは思わんよ…」
深層心理では苦と思えていた岩口だったが、そこは夫の威厳を示し、方便を遣った。
「一時間ほど前、砂場さんから電話があったわ」
「ふ~ん、…どうだって?」
「私には分からないけど、アノ件はやっておきましたって…」
「そうか…」
サッパリ要領を得ない数値ばかりの書類が、岩口の脳裏に甦(よみがえ)った。コチラ[骨太神社]の祭礼は一応、片づいたし、アチラ[観光物産課]の一件も何とか済んだか…と、岩口は二重の安息感を得た。二足の草鞋(わらじ)、大変なんですよね。作者からご慰労、申し上げます。^^
続