宵宮の巡行を終えた氏子の若衆とアルバイト達が社務所へ戻り、太鼓蔵へ大太鼓を収めて社務所へ上がると、氏子総代の切川が社務所の畳に敷いた座布団からスクッ! と立ち上がり、咳ばらいを一つすると、役員らしい威厳のある他所(よそ)いきの声で静かに語り始めた。
「えぇ~~…アルバイトの方々には本日の渡行、ご参加を頂き、誠に有難うございました。明日は午前十時からの渡りとなっております。お召しの装束にて境内へご参集頂きますようお願い致します。なお、参加して頂いた日当につきましては、参加説明会でお話をさせて頂いた通り、一週間ほどでそれぞれの口座に振り込まさせて頂きますので、よろしくお願いを致します。では、退席して頂いて結構でございます…」
山高帽を被った紋付羽織、袴(はかま)姿の切川が言い終わり、ペコリと頭を下げると、参加したアルバイト達はザワザワと立ち上がり、社務所から出ていった。あとに残ったのは上戸町の十数人の若衆と宮司の岩口、役員の切川、宮尾を加えた小人数だけとなった。
「若衆会の方々におかれましても、本日のご参加、誠に有難うございました。このあと、十分ばかり諌(いさ)めて頂き、若衆会の大頭(おおがしら)の指示に従って解散していただきとうございます…」
切川が言い終え、座布団に腰を下ろすと、若衆会の面々は、ザワつくこともなく静かに社務所を下り、鉦を撞(つ)き、中太鼓を叩き始めた。骨太神社の境内はふたたび祭り一色に変化した。
「ひとまず、第一段が終わりました…」
切川がボソッと本音を漏らした。
「総代、お疲れ様でした」
仮屋番の宮居が切川を労(ねぎら)った。
「ははは…まだ、あとが二日あります…」
「それはまあ、そうですが…」
「巡行前、宮司に諌(いさ)められました…」 岩口、切川、宮居の高らかな呵(わら)い声が社務所に響き渡った。
続