水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -141-

 堺出(さかいで)八幡宮の境内である。岩口が社務所前の授与所へ近づいた。
「あのぉ~…」
「はい、なにかっ?」
 授与所は若い巫女(みこ)姿の受付嬢が数人並んでいる。岩口は、うちの神社とは偉い違いだ…と思いながら巫女達を見回した。
「煮込(にこみ)蕗(ふき)さんという巫女さんはおられますか?」
「はい、それが何か…?」
「よかった。まだ、いらっしゃいましたか。実は少しお話したいことがありますので、呼んでいただけませんか。私は骨太(ほねぶと)神社の宮司をしております岩口と申します…」
「お呼びしますので、しばらくお待ち下さい」
 巫女は立ち上がると奥の間へと入っていった。

『煮込さん煮込さん、社務所までお越し下さい』
 見えないスピーカーから流れるマイク音が境内に鳴り響いた。岩口は時代の流れをしみじみと感じた。

                  続