
「霊界番人様? …私には何も見えんぞ、君!」
上山は鋭い声で云った。
『課長には聞こえません。ただ、僕にもそのお姿は見えてません』
「なんだ、そうか…。しかし、この私は、どうなったんだ。君、訊(き)いてみてくれよ」
上山は少し不安げな大きめの声で幽霊平林に云った。
『あの、課長はどうなったんでしょう?』
『おお、そこの人間界の者か。確か…なんとか申したのう』
『上山です。上山課長です!』
『そうじゃったな。その者は、お前の姿が見えるはずだったが…』
『はい! そうです』
『結論から申せば、今、その者はいつぞやと同じ人間界と霊界の狭間(はざま)にある。いや、いつぞやよりは、もう少し霊界に近いじゃろうのう』
『それは、なぜ?』
『今回は儂(わし)が霊界司様のご命令で、したことじゃ。ゆえに、儂が念力を解けば、すぐさま元に戻れるから安心せい、と伝えよ』
『ああ、よかった…』
幽霊平林は、それを聞き、ひとまず安心した。
「何が、よかったんだ、君?!」
安心できないのは上山である。
『あっ! こっちの話です、課長。すいません。霊界番人様のお話によれば、課長の今の状態は、霊界と人間界の狭間にある、ということです』
「いつやらあった、あの状態か?」
『いえ、あの時よりは、もう少し霊界に近いそうです』
「なんだって! 私はどうなるんだ、君!」
上山は興奮しだした。