
「一時間前、発表されたリブストン大学のアレン・ストック博士の会見によりますと、スペース・コロニー理論に端を発した発見が新(あら)たにされました。具体的な詳述は学術的見地から避けられたものの、人類に新しい宇宙時代の到来を告げるものとして、実用開発が大いに期待されます」
「んっ? …なんのことだ?」
上山はアナウンサーの声に耳を澄ませ、画面に見入った。その画面には、字幕スーパーで ━ 人口重力発生装置の新理論発表 ━ とあった。
「おおっ! やったか!!」
上山は喚声を上げた。
「こりゃ、さっそく平林に伝えないとな…」
上山の左手首は、反射的にグルリと回っていた。当然、幽霊平林はパッ! と瞬時に現れた。
『課長! …云わないでも分かります! 効果が出たんですね?』
テレビ画面を見ながら、幽霊平林は興奮ぎみに云った。画面は相変わらず、アナウンサーが人口重力発生装置のメカニズムや詳細を報じていた。アレン・ストック博士の写真や、簡単な図解場面も挿入されながら番組は進行していた。
『これで、ひとつは貢献できましたね』
「ああ…、影ながらも正義の味方だよ、私達は…」
『ほんの少し、いい気分です』
「だろ? 武器輸出禁止条約以来だよ」
『この程度なら、霊界ストップは、かからないんですね』
「そうだな。今すぐ直接の影響を与えない程度だからな」
『人間の進歩に間接的な介入をするくらいのことはOKなんですねえ』
「まあ、そういうことだろう。私の身も霊界の狭間(はざま)へ行かなくて済むし、安心だよ」
『小さいことか…。滑川(なめかわ)教授も、いいアドバイスをくれましたね』