「分かりました…。それとなく砂場君には探りを入れておきましょう。翻意するかは砂場君の判断次第ですから、そこまでは責任持てませんが…」
「はあ、そうして戴くと、総代として私の顔も立ちますから…。このままでは、役員達に示しがつきません」
「確かに、それは言えます…」
「ボヤ騒ぎと氏子辞退とは直接関係がないように思うんですが、宮司はどう思われますか?」
「いや、それも本人の気持ち次第ですから…。砂場君が神の意思だと考えたのなら、それはそれで理由にもなりますが、宮司の私が、そうじゃないと翻意を促すのも如何なものかと思いますし…」
「はあ、まあ、それはそうなんですが…」
「あっ! いけないっ! これ以上、お話をしてると遅刻しますので…」
「ご出勤前にどうも、すいませんっ! それじゃ!」
切川は出勤の邪魔をしたことに気づき、足早に岩口家から退散した。
それから二時間後の上戸町役場である。
「氏子を辞退されるらしいですね…」
「ボヤ騒ぎでそれどころじゃなくなりましたもので…。どうもすいません」
「いや、私に謝られることじゃありませんから…」
「出火原因が判明せず、いろいろと消防や警察なんかで訊かれて大変なんですよ」
「そうでしたか…」
砂場の心中を察したのか、岩口はそれ以上深く訊ねないことにした。
続