「ほんの僅(わず)かですが、この古文書(こもんじょ)に関係ありそうな文面が…」
「どこです…」
砂場が差し示した古文書を、興味深そうに岩口は窺(うかが)い見た。
「ここなんですが…」
「ほうほう、なるほど…」
古文書が読めない岩口だったが、そこはそれ、上司だけに方便で知ったかぶりをした。そこに書かれていた漢字ばかりの文面を掻い摘んで要約すれば、当時の郷村だった上戸村にいた紙漉(かみす)き職人が囲碁の名手で、骨太(ほねぶと)神社の宮司を相手にして碁を打っていた・・というような内容だった。プロ棋士を父に持つ砂場としては、この文面が両者の関係以上に興味深かった。だが、岩口にすれば、紙漉き職人⇔囲碁仲間⇔骨太神社の朧気おぼろげ)に繋がる関連が、今一、よく理解出来なかった。
「囲碁が取り持つ縁(えにし)・・ということですが…」
「ホームページに上戸町の特産和紙と骨太神社の繋がりを囲碁を中心にコラボさせて考えられればいかがでしょう…」
「課長!! そりゃ、グッド・アイデアですっ! そのお考え、いただきますっ!!」
かくして、上戸町の伝統和紙を骨太神社のホームページに掲載して関連付けるコラボ企画の原案が纏まったのである。
次の日の月曜、上戸町役場の観光物産課は俄かに活気づいていた。
「おお、やってますねっ!」
岩口が砂場に声をかけた。砂場を中心にしたコラボ企画をする職員の動きが慌ただしくなっていた。
「はい、お蔭様で…」
続