水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -172-

 骨太(ほねぶと)神社がそんな状況になっていようとは、福引抽選の特賞が当たって海外旅行中の岩口家の人々は露ほども知らない。それもまあ当然といえば当然といえた。海外情緒が岩口家の全員を満喫させたからだった。実は福引の特賞も枉神(まがかみ)が密かに骨太神社をM&A的に乗っ取ろうとする画策だったのである。どこでどのように三竦みが崩れたのか? は分からなかったが、とにかく岩口家に危機が迫っていたのである。
 その頃、天界では骨太神社に祀(まつ)られた三柱(みはしら)の神々がゴチャゴチャと会話をされておられた。
『どうも最近、この神社も寒々として住み心地が悪うなりましたな…』
 天常立(あめのとこたちの)神が二柱(ふたはしら)の女神に、それとなく口をお開きになられた。
『確かに…。岩口家の方々は海外で浮かれておられますが…』
 天照大神(あまてらすおおみ)神が同調された。
『どうも枉神が近づいておるようですわよ…』
 比売神(ひめの)神が下界の状況を説明された。
『そうでしたか。よくご存じですな、比売神様…』
『ほほほほほ…下界の事情には詳しいですの』
 自慢げに比売神はお笑いになった。