水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -201-

 枉神(まがかみ)に憑依された黒原は思った。
『これで、骨太(ほねぶと)神社の弱みが掴めるぞ…』
 だが、黒原には骨太神社の弱みが何なのか? までは分かっていなかった。万一を考え、枉神が黒原に伝えなかったのである。それでも黒原は目的に一歩近づいた…と考えていた。そのとき、枉命(まがみこと)が黒原にテレパシーを送ってきた。美登里に案内されて書庫へ歩いているときである。
『書庫の中で調べることは、こちらから指示します。そのとおりに動いて下さい、どうぞ…』
『分かりました、どうぞ…』
『気づかれぬよう、形跡を残さないよう願います、どうぞ…』
『了解しました…』
 むろん、枉命と黒原のテレパシーでの会話は美登里に聞こえる筈もなかった。
「こちらが書庫ですの…」
 美登里は手にした書庫の鍵で扉を開いた。長年、開けられていないためか、観音開きの扉はギギギィ~と鈍い軋(きし)み音を出して開いた。扉が開くと、一枚の戸があった。美登里はその戸を持ち手から左へと開いた。戸はガラガラガラァ~~と、軋むことなく開いた。中には多くの古文書(こもんじょ)が整理されて収納されていた。
「お調べになりたいものがあれば、手に取ってお調べ下さい。私にはよく分かりませんの…。これ、終わりましたらお掛けになって宅の方へお戻り下さい…」
 そう言い終わると美登里は書庫の鍵を黒原に渡し、無言で軽く一礼して立ち去った。
『何を調べればいいのですか、どうぞ…』
 黒原は枉命にテレパシーを送った。