━ 沙耶を有効に活用する方法 ━
また、昨夜の妄念が頭を過(よぎ)った。要は、保自身の代役として有効に活用する方法なのである。ある種、今は利己的な発想だが、このプログラムをソフトとして組めば、様々な分野に活用し得るのだ。それが、介護者に対してだったり、障害者に対してだったりと分野は多様である。まっ! 今は、目尻を下げる保だけのアンドロイドだが、そう考えれば別に卑屈になる必要などはない。保は定期的に吹き上がる噴水を見ながら、そう思った。よし! もう少しプログラムを補強するか…と、考えがまとまった瞬間、保は俄かに空腹感を覚えた。出がけに沙耶に手渡された弁当を開き、箸を出した。そう毎日、サンドイッチ+水筒入りミックスジュース+簡易ハンバーグの日々が続く訳ではなかった。要は日替り弁当である。保が主張しなくても、沙耶の自動選択調理機能が作動し、短時間・低コスト・栄養カロリー。嗜好傾向etc.を計算して調理されるのだ。だから、日々、手渡される弁当に、保が文句を挟むはずがなかった。
保は美味な弁当を食べ終えると保温水筒のお茶を飲み、ベンチを立った。空腹感が満たされたこともあったが、考えが纏まったことでテンションは少しずつ高まっていた。Uターンして帰宅するには少し早過ぎた。保は久しく出会っていない東都大学の山郷を訪ねることにした。アポは取っていなかったが、なぜか会える気がした。