『黒原さん、黒原さん、どうぞ…』
『枉神(まがかみ)様が一端、撤退するようにとのお言伝(ことづて)です、どうぞ…』
枉命(まがみこと)は枉神からの指令をそのまま黒原にテレパシーで送った。
『どういった訳でしょう? どうぞ…』
『私にもよく分からないんですが、おそらくは絵巻物の絵が消えたことに関係があるのでは? と思われます、どうぞ…』
『分かりました。岩口さんにはどう言えばいいでしょうか、どうぞ…』
『先ほどのように、私が送るテレパシーどおりに復唱して下さい、どうぞ…』
『分かりました。宜しくお願いします、どうぞ…』
『了解です、どうぞ…』
『では、書庫から出ます、どうぞ…』
黒原としては埃塗(ほこりまみ)れの書庫の古文書探しから解放され、やれやれ…といった気分だった。
続