水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

代役アンドロイド -239-

「お前は苦がないで、いいのう。ほっほっほっ…」
「あら、おじいちゃま。早いわね、おはよう」
「それにしても、ここのホテルのサービス、いいわね」
「そらそうじゃろう。このホテルは、わしのツレの系列じゃからのう。特別待遇になっておるのじゃ」
「そうなの? お得ね」
「わっはっはっはっ…。お得とは上手いこと言う。確かに、お得じゃ。わっはっはっはっ…!」
 長左衛門は豪快に笑い飛ばした。
 二人が三井の先導でホテルを出たのは一時を少し過ぎた頃だった。その前に保側のデータの大まかは三井によって収集分析されていた。保の現在位置や状況などが綿密にデータ化され、対応に最適な行動パターンが組まれていたのである。
「ところで三井よ、保の居場所は分かっておるのか?」
『はい、それはもう…』
「あのう…お客さん、先ほどお聞きした所でいいんですよね?」
 タクシー運転手が後ろを振り向き、不安げに確認した。
『はい、そこで結構です』
 三井が念を押し、長左衛門、里彩、三井を乗せたタクシーは、ゆっくりとホテルのエントランスを発進した。
 その頃、保は山盛研究室で飛行車のプレゼンテーションに立っていた。
「大まかには、ただ今、ご説明したメカニズムですが、設計図面に関しては、お手元の配布資料をご覧願いたいと思います」
「岸田君、なかなかの優れものだと思うぞ。どうだ、君達は?」
「はい! 私も、そう思います」
 間髪いれず、小判鮫の但馬が続いた。