水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

2025-12-14から1日間の記事一覧

代役アンドロイド -215-

『はい。お蔭さまで…』 沙耶は当たり障りのない言葉を返した。「そうですか。それは、よかった…」『保、ちょっと…』 沙耶は保を部屋隅へ手招きして呼んだ。保は訝(いぶか)しそうに沙耶に近づいた。「なんだよ!?」『つい先っきね、長左衛門の書生ってのが…

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -315-

「そうですか…。では伺わせて頂きます。直近の休診日はいつでございますか?」『毎週、日曜、祝祭日は休ませて頂いておりますので、その日なら…』「では、さっそくですが次の日曜にでも…」『土曜日も昼からなら休診にさせて頂いております』「そうですか。で…

代役アンドロイド -214-

二人? は、じっと見つめ合い、互いのシステムを最大限働かせて相手の情報を探ろうと対峙した。目に見えないバトルの構図である。二人? は氷結したように一歩も動かず、時だけが経過していった。『なんか、あなたと私、似てるわよね…』『そうですね…。他人…

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -314-

『どういったことでしょう?』「実は振込額が少し少ないように思いまして、何かの手違いではないかと電話させて頂いたようなことで…」『えっ!? そんな馬鹿な…。少々お待ち下さい…』 切川が慌てて受話器を置いて立ち去る音がした。黒原の手には振り込まれた…

代役アンドロイド -213-

「なんじゃ、食事は、なされんのか?」『はい。今、お医者様に止められてますから…』「ああ、左様か。ではのう…」 得心した長左衛門は軽く頷くと遠退いた。保は、危ねえ危ねえ! と、冷や汗を流した。保達が大テーブルを囲んでいる頃、沙耶は一冊、10~1…

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -313-

『夜も更けておるゆえ、そなたには誠に申し訳ないが、これよりただちに黒原の寝室へ入り、今言ったように仕向ける暗示を与えよ、どうぞ…』『これからで、ござりまするか? どうぞ…』『はあ、畏(かしこ)まりました…』 枉命(まがみこと)にすれば、少し疲れ気味…

代役アンドロイド -212-

「ああ…これは、いつぞやの・・。はて? 誰でしたかのう?」『保さんの友達の従兄妹(いとこ)の沙耶です』「ああ、そうでした。保が事情で預かってたんでしたな」『ええ、まあ…』「なんだ保。そんなことになってたのか」 勝が変に誤解したのか、ニヤけて言…

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -312-

『はい、そのように記憶いたしておりますが、それが何か? どうぞ…』『ということはじゃ。黒原と切川は顔見知りということになる。そこでじゃ、黒原を動かして切川クリニックへ向かわせるのよ、どうぞ…』『どういった理由で向かわせるのでござりまするか? …

代役アンドロイド -211-

『ええ、残念なんですが…』 沙耶の言語認識システムが育子の言動を分析し、明らかに疑われている解析していた。当然、沙耶は納得できる説明を考えていたが、取り敢(あ)えず軽く言ったのだ。「大事に、なさって下さいましよ」『はい…』 沙耶の返事と同時に…

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -311-

『いや、まあそれはいい…』 素直に謝られては枉神(まがかみ)もそれ以上は窘(たしな)められず、許す他はなかった。『なにかいい策がありましたらお伝え下さい。では、これにて…』『い、いや待てっ!』 枉神にいい策が浮かんでいなかったのか? といえば嘘にな…