「大事にならず、助かりました…」
「確かに…。祭礼の行列に救急車は似合いません」
三人は顔を見合わせて大きく呵(わら)い合った。
戸が開けられた社務所からは、神輿(みこし)を担いだ若衆会とアルバイトの連中が雑然と酒と干烏賊の肴で一杯やっていたが、その人数も帰路に着く者達で少しづつ減っていった。
「さて、私はこれで…。若衆会との打ち合わせが残ってますので…」
切川はそう言うと、社務所を下りてふたたび境内へ戻っていった。
「明日の後宴祭は十一時からでしたね?」
「はあ、巳の下刻ですが…」
後宴祭は小太鼓を叩き、小鉦を撞きながら、軽く骨太神社を取り囲む参道をふた周りするだけだった。それが終われば、慰労会が行われるというパタンは、前年までと少しも違いはなかった。
「私も、これで…。あとの戸締りはお願いします」
切川が社務所から消えた数十分後、岩口が座布団から立ち、社務所から消えた。
続