切川クリニックの診察室である。
「何か食べられましたか?」
腹を触診しながら、氏子総代から医者の姿に変身した切川が訊(たず)ねた。
「はあ、湯掻いた枝豆の残りを…」
「やはり、軽い食当たりですね。念のため血液検査はして頂きましたが、たぶん大丈夫でしょう…。結果は明日の後宴祭のときにでも…」
「はあ、どうも有難うございます…」
「いやいや、こちらこそいつもお世話になっておりますので…。お薬を出しておきます」
話はあっけなく終わったが、岩口は大ごとにならずよかった…と、少なからず安堵した。
「ただいま…」
切川クリニックから帰った岩口は玄関戸を開けながら思った。ただいま…は、どうでもいいや…と。
「どうでしたの?」
心配していたのか、美登里が奥から現れた。
「やはり、軽い食当たりらしい…」
美登里はそれを聞き、ホッ! とした。
続