『私で、ひと儲(もう)けするつもりね、って言ったわ』
「そりゃ、怒るだろうさ。他には何か言わなかったろうな」
『売り言葉に買い言葉よ! …言葉っていえば、言葉にそう書いてあるって言ったかしら』
「言葉にそう書いてある?」
『そう。するとね、君は少しおかしいんじゃないか、って言われたわ』
沙耶の記憶回路が過去を再現していた。
「そりゃ、そう言うだろう。言葉に書いてあるは、ないぜ」
『少し過激?』
「過激とか、そういうんじゃなくってさ。言葉には書けない」
『だって、私は分かるもん』
「あぁ~~! 君は確かに分かるだろうけどさ…」
保は、これじゃ埒(らち)が明かないと思った。
『こんなとこで立ち話しても仕方ない。行こうぜ』
二人? は、地下鉄出入口の方へ向かった。これ以上、事がややこしくなると、保自身も困る。
「今日は、これ以上、無理だな。食材調達は中止! うちの近くでラーメンでも食うから、とりあえず引き揚げよう」
なんとなく雰囲気を察して、沙耶も頷(うなず)いた。
「もう少し、考えてくんないとさぁ…」
地下階段を下りながら保が言った。