水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -128-

「どうでした?」
 課へ戻った岩口に、砂場が近づいて訊ねた。
「部長から了解を得ましたよ…」
「よかった!」
 こうして、砂場が立案したコラボ企画は実施に向け始動し始めた。
 五月の風が戦(そよ)ぐ朝である。この月は岩口にとってコレ! という神事もなく、いつものように幣殿(へいでん)で祝詞(のりと)を上げたあと、町役場へ出勤するだけである。そんなある日、岩口が祝詞を上げ終え、拝殿から下りようとしたときだった。ふと、拝殿の天井を見上げた岩口の眼に入っったのは、雨漏りのあとだった。
「おやっ?」
 注視して見ると、ポタッ! ポタッ! と、雫が拝殿の床板(ゆかいた)を濡らしていた。雨漏りを確認した以上、放置することは神社の責任者として許されない。岩口は氏子総代の切川に電話することにした。
「ええ、そうなんですよ。お手間をおかけしますが、宜しくお願い致します」
『分かりました。総代会を開いて、対応させて頂きますので…』
 切川は修理の対応をすることを快く約束してくれた。宮司だからといって修理費用を岩口が持つ必要はなく、氏子達が費用を出し合って修理するのが以前からの慣例となっていた。