しばらくすると巫女(みこ)姿の煮込(にこみ)蕗(ふき)が少し威厳めいて現れた。多くの巫女達を取り仕切る巫女長だけあって貫禄は十分だった。
「何か用なの? 九日十日…」
思わずニンマリするようなダジャレだったが、岩口にはどこかで聞いたようなダジャレだ…と感じた。
「こちらの方が、お話したいことがあるそうです。岩口さんでしたか?」
「ええ、そうです…」
「あらまあっ! 岩口のおぼっちゃん!!」
「ご無沙汰を致しております。ははは…それにしても、よく覚えておられましたね」
「ほほほ…幼い頃の面影がありますもの…」
「ははは…その節(せつ)は、何かとお世話になりました」
岩口は幼少の砌(みぎり)、煮込に育てられたのである。
「いいえ、こちらこそ。お父様の久郎(くろう)さんにはお世話になりましたから…」
岩口は司郎(しろう)で父は久郎だった。そのとき、ふと岩口は煮込のダジャレが商工観光部長の設楽(しだら)と全く同じだ…と、気づかなくてもいいのに気づいた。^^
「いやいや、こちらこそ…」
どちらが世話になったか? 論争は思い出話も含めて数分ばかり続き、終結した。
続