「奥様からお聞きとは存じますが、実はこの神社の縁起で、少し知りたいことがありまして…」
「神社の縁起ですか? …それは何故でしょう?」
そう岩口が訊ねたとき、黒原の脳裏に枉命(まがみこと)のテレパシーが送られてきた。
『私の神具店に骨太(ほねぶと)神社の古いお札が祀ってあるのですが、かなり古いお札でして、明治以前のものと思われたのですが、いつ頃この神社が創建されたのかを知りたくなりまして…』
「私の神具店に骨太(ほねぶと)神社の古いお札が祀ってあるのですが、かなり古いお札でして、明治以前のものと思われたのですが、いつ頃この神社が創建されたのかを知りたくなりまして…」
黒原は枉命がテレパシーを送ったとおりを復唱した。
『ああ、そうでしたか…。私もいつやら神官として伊勢に住んでいた我が先祖が、なぜこんな遠隔地の神官になったんだろう? と疑問に思い、調べたことはあるのですが、神社の創建に関しては…』
口ではそう言った岩口だったが、なぜ、そんな些細なことで態々(わざわざ)やって来たんだ? どうも怪(あや)しい…と考え始めていた。黒原が三竦(さんすく)みを崩す先兵ではないのか…と思えたからである。
「そうですか…。古文書の調べ、続けてもよろしいでしょうか?」
「あっ! ああ、どうぞ、どうぞ…。お手をお止しました」
そう言い終わると岩口は書庫には入らず、家へ引き返した。
続