水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

代役アンドロイド -131-

 沙耶は間違ったことを言ってないから、保はまた返せなかった。それを見ていた山盛教授が二人の間に割って入った。
「この前のお嬢さんですか。確か…岸田君の…」
『はい、従兄妹(いとこ)です』
「ええ、でしたよね」
『間違いなく…』
 沙耶が念を押した。正確さを強調したのだが、逆に不信感を抱かせる言葉だ。保は、沙耶の服を軽く押した。言葉では言えないからだが、内心では、いらないことを言うな! 逆に、おかしく思われるだろうが…的な思いが沙耶を手で押した意味だった。
『はい、従兄妹です』
 言い直さなくてもいいんだよ…と、保は、お前なっ! 的に沙耶を見た。幸い、教授は、おかしく思っていないようで、保は少し安心した。
「で、今日も、ご見学ですか?」
『はい!』
「なかなか勉強家でいらっしゃる。しかし、ひとつだけ、ここでのことは外部に漏らさないで下さいよ、未発表なんですから。岸田君から、そのことはお聞きとは思いますがね。ははは…」
 山盛教授が笑い、保はホッとひと安心した。