水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -258-

『朗報ですっ! 岩口さんが異動しそうですっ!!』
『なんじゃとっ!! 儂(わし)の霊力が功を奏したか…? いや、そんな訳はないわな。憑(つ)く呪文を掛けてから日も過ぎておるし、突然、儂の霊力が強まったという訳でもないしのう…。よう分からん。どうぞ…』
『枉神(まがかみ)様の憑依(ひょうい)の呪文の訳でもなさそうです。どうぞ…』
『では、なぜじゃ!? どうぞ…』
『恐らくは、年月の関係かと思われます。どうぞ…』
『年月の関係!? どういうことじゃ、どうぞ…』
『岩口さんが観光物産課へ異動されてから、もう数年経ちますから、どうぞ…』
『なるほど…そういうことか、どうぞ…』
『そういうことかと思われます、どうぞ…』
『しめたっ!! とすれば、絶好のチャンスじゃな、どうぞ…』
『はいっ! 枉神様がお考えのように岩口さんの生活は慌ただしくなるかと。どうぞ…』
『慌ただしくなれば、儂が目論む岩口の生活に隙が生じるのう、どうぞ…』
『はい、さようでございます。その隙に乗じて骨太(ほねぶと)神社を、どうぞ…』
『神々が鎮座しておるから、まあそう簡単にはいくまいがのう、どうぞ…』59-
『いやいやいや、枉神(まがかみ)様の実力ならば。どうぞ…』
『フフフ…そうかのう。どうぞ…』
 枉命(まがみこと)に煽(おだ)てられた枉神は、満更、悪い気がせず、ニンマリと哂(わら)った。自らを神だと信じる枉神は、煽てられたことで枉神と呼ばれた怒りを忘れてしまったのだ。単純です。^^
『このまま、役場で探りを続けますか? どうぞ…』
『そうじゃな、取り敢えず続けてくれるか。どうぞ…』
『分かりました。取り敢えず続けます、どうぞ…』
『取り敢えずは余計じゃ! どうぞ…』
『すみません、どうぞ…』
『まあ、いい。どうぞ…』
『では…』
 枉命はテレパシーの送信を切った。切れた瞬間、枉神は出来の悪いのに命じたもんだ…と気分で愚痴った。枉事(まがごと)でも、出来不出来はあるんですねぇ~。^^