「それにしても、あれだけ暗かった健康福祉課がね。不思議だなぁ…」
「それは言えます。私も原因が見当たらないんですから…」
「神業(かみわざ)かも知れんよ。知床旅情。はっはっはっ…これは冗談だがね」
それを聞いたとき、岩口はそれもアリか…と思った。以前、岩口の脳裏に去来していたトラウマがふたたび息を吹き返したのである。
『課内が暗かったのは私の周辺の三竦(さんすく)みを崩そうとする枉神(まがかみ)の仕し業でだったのか? そこへ私を…』
「どうかしたのかね、岩口君?」
「いえ、何でもありません…」
「そうか…。おっ! そろそろ行こうか。十分前だ…」
設楽は腕を見ながらボックス席から立った。吊られるように岩口も立ち、二人はレジへ向かった。
設楽と別れた岩口が課内へ戻ると課員達は、ほとんど自分のデスクにいた。
「今日は外食でしたか…」
「ああまあ…」
鉄棒がそれとなく訊ねたので、岩口も多くを語らず、それとなく返した。
続