水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -312-

『はい、そのように記憶いたしておりますが、それが何か? どうぞ…』
『ということはじゃ。黒原と切川は顔見知りということになる。そこでじゃ、黒原を動かして切川クリニックへ向かわせるのよ、どうぞ…』
『どういった理由で向かわせるのでござりまするか? すでに三方(さんぼう)の代金は自動振り込みする話が出来ておりますが? どうぞ…』
『そこよっ!』
『どこでござりますか? どうぞ…』
『お前も頭の回らぬようじゃのう…』
 枉神(まがかみ)は前任の枉命(まがみこと)と同じ程度か…と頭の回転の悪さを情けなく思ったのである。
『はっ!? どのような意味でござりましょう? 枉神様、どうぞ…』
『まあ、いい…。代金の振り込みの額が少し違うと直接、伺わせるのじゃ。どうぞ…』
『間違っておらぬのに、でござりまするか? どうぞ…』
『ふふふ、そうじゃ。口実をつける手法でのう、どうぞ…』
『なるほど…』
 枉命は合点した。枉神は黒原を切川に接近させ、骨太(ほねぶと)神社や岩口周辺の三竦(さんすく)みを崩す策を立てたのである。