人間語を話す小次郎の姿を沙希代が見れば、驚いて下手をすると卒倒するだろうが、自分が説明するよりは手っ取り早いだろうと考えたのだった。
テレ京の駒井から電話が入ったのは夕食が終わった7時半前だった。この前の電話もその頃だったから、里山はある程度、心の準備はしていた。
「はい! 里山ですが…」
電話音がした途端、待ちかまえていたかのように里山が受話器を手にした。
[夜分すいません。テレ京の駒井です。先だっての件でお電話させていただきました]
「はい。数日はかかると思いますが、送らせていただくことにしましたので、なにぶんよろしく…」
[あっ! そうしていただくと、担当ディレクターとしても有り難いです。まあ、流す流さないはテープ次第ということにはなりますが…]
「はあ、それで結構です。驚かれると思いますが…」
[えっ?]
「いや、べつに…」
口が滑(すべ)りそうになり、里山は慌(あわ)てて誤魔化した。
[…では、お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします]
「はい、分かりました…」
里山はそう言うと、静かに電話を切った。いずれにせよ、小次郎が話せば沙希代が驚くだろうし、駒井だってテープを見れば驚愕(きょうがく)することは必定だ…と里山は思った。まあ、その辺りも考えていない里山ではなかったのだが…。