水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

幽霊パッション 第二章 第二十六回

                

「ええ、それはいいんですが、そのマヨネーズと同じ物質と私達の問題と、どんな関係が?」
「ははは…、だから、マヨネーズだよ。君達にマヨネーズを、と思ってな、ははは…」
 滑川(なめかわ)教授は俄(にわ)かに陽気な声を出して笑った。
『マヨネーズを僕達にどうするって云うんですか?!』
 幽霊平林が思わず口を挟んで突っかけた。もちろん、その声は教授には聞こえていない。
「そうだよな。そら、私もそう思うよ」
「えっ? どうした? 何を云っとるんだ君は…」
「ああ、すいません。ここに浮かんでいる平林が、マヨネーズを私達にどうするんだ、と訊(き)いたんですよ」
「おお、そうだったな、そこに君が云っとった幽霊の部下がいるんだった…。で、マヨネーズを君達にどうするかって? そんなの簡単なことじゃないか。食うんだよ! 君達が…。マヨネーズなんてすぐ手に入るだろうし、どこの家だってフツ~、一本くらいはあるだろうが…」
「はあ、それはまあ…。サラダとかいろいろと、よく使うものですしね」
「だから、それを君達に食べ続けてもらおうっていう寸法だ。それでデータを日々、私がつけさせて戴こう、ということさ。恐らく、私が睨(にら)んだところ、なんらかの手掛かりは掴(つか)めるんじゃないかと…」
 滑川(なめかわ)教授は存念を上山に披瀝(ひれき)した。
「あのう…、どれくらいの量を、どれくらいの間隔で?  …それに、平林は幽霊ですよ? どうやって食べんです?」
『そうですよ。僕は食べたりはしませんし、出来ません。あの世の者なんですから…』
「ああ、そうだな」
「んっ? なんだっ?」
「いえ、別に…。こちらのことです」
「ああ、そうか…。まあ、幽霊の部下の方は確かに食べれんだろうから、霊磁波を照射する手段を佃(つくだ)教授に頼むことしよう。君の方は兎も角、そうしてくれ。ああ、そうだった。朝晩の食後、三十分以内に…」
「霊磁波?」
「今は君らに分からんことだ!」