2026-01-13から1日間の記事一覧
「いや、なんでもない。そんなことは、どうでもいい! はやく、あっちへ行けよ!」 理由は分からないのだが、上山は少し怒れてきた。『はい! それじゃ…』 幽霊平林は、言葉と同時にパッ! と消えた。 ここは霊界である。現れた幽霊平林は住処(すみか)へと…
『おお、これは…。僕が手に出来た、ということ自体、成功ですよね』 幽霊平林は陰気にニヤリと笑った。「君な…、そう喜ぶもんじゃない。問題は、これを食後に一日三回…、君の場合は食後の部分を除外してだが、…とにかく口にして、果して止まれるか、だろうが…
宅急便が上山の自宅に届いたのは、次の日の夕方だった。「ああ、どうも…」 配達員が差し出した伝票に認めのサインをしてドアを閉めると、上山は届いた小箱を、さっそく開けた。中には滑川(なめかわ)教授のメッセージと、マヨネーズが一本、入っていた。上…
滑川(なめかわ)教授はその足で、すぐ宅急便会社へ行った。「あのう…、これ一本ですか?」 宅急便会社の窓口で、女性係員は、どこにでもあるマヨネーズ一本を見て、怪訝(けげん)な表情でそう云った。「おお、そうだが、何か不足か?!」 女性係員は教授に…
「そのはずです。外観は以前と何も変わっていません」「すると、容器の中のマヨネーズが変化したと?」「いいえ、中身も、ちっとも変化はしておらないはずです。最初と、…すなわち先生が持って来られた時と、少しも変化してないはずです」「なんだ、変わっと…
「こちらです!」 佃(つくだ)教授の先導で滑川(なめかわ)教授がその後方に続く。「あっ! 君達、アレ、頼むよ」「はいっ!」 四人の助手達は筆を止めてそう云うと、椅子を立って早足で装置室と書かれたドアを開け、中へ入っていった。少し遅れて二人も続…
「いえいえ、正直に申したまでです。上山さんとお亡くなりになった平林さんとの間に、どういう経緯があったのか、までは分かりかねますから今後の課題として残りますが、二人の空間に歪(ひず)みが生じ、霊動臨界に達していることは、ほぼ間違いないでしょ…
「はい、そうです。その土を分析しておりますと、偶然にもこのマヨネーズと成分が完全に一致したんですがな」 滑川(なめかわ)教授は、佃(つくだ)教授の前へ、手に握った一本のマヨネーズを差し出した。「ええっ! マヨネーズと土骨粉がっ?! 本当ですか…
次の朝、滑川(なめかわ)教授はマヨネーズ一本を片手に持ち、佃(つくだ)教授の研究所を訪れた。もちろん、研究所が四六時中、開いてないことは滑川教授もよく知っている。過去に何度も二人はお互いを訪問したりされたりする間柄だったから、九時を回れば…
「君の目には変わりなく映るんだろうが、私や他の者には、その平林とかが受け取った瞬間、消えてしまう」「へえ~…」『そうなんだ…』 上山も、プカリプカリと傍(そば)で浮かぶ幽霊平林も、呆(あき)れて、ひと言、吐いた。「分かったか! じゃあ、切るぞ…
「なんか、病院の投薬みたいだなあ…」「えっ? なんぞ云ったか?」「いや、別に…」「そうか。では、そのように、よろしく頼む。一週間、様子を見てみるから、勤めが終われば寄りなさい」「はいっ!」 滑川(なめかわ)教授は上から目線で云い、上山も逆らう…
「ええ、それはいいんですが、そのマヨネーズと同じ物質と私達の問題と、どんな関係が?」「ははは…、だから、マヨネーズだよ。君達にマヨネーズを、と思ってな、ははは…」 滑川(なめかわ)教授は俄(にわ)かに陽気な声を出して笑った。『マヨネーズを僕達…
「いや、そりゃそうじゃ。私が悪かった。どうも最近、気短になってな。いかん、いかん…」 滑川(なめかわ)教授は自問自答した。上山は教授の言葉に敢(あ)えて返さなかった。「マヨネーズの成分と同じ、ってところを、もう少し詳しくお願いします。ここに…
「マヨネーズなんだ…」「はっ? …もう一度、お願いします」「だから、マヨネーズだったんだよ」「…、細粒物質が、ですか?」「ああ、細粒物質が、だ」「ははは…、ご冗談でしょ。で、なかったら、何かの間違い、としか思えません」「いや、上山君。これは事実…
『はは~ん。だから、でしたか。だったら、消えますよ』「いや、いいよ。ことのついでだから、君も傍(そば)で聴いていてくれ」 そう云うと上山はドアを開け、第一会議室へと入った。入ったのは上山が先だが、入ってドアを閉じた時には、すでに幽霊平林は透…
「おお、本当だとも! 詳しくは、昼休みにでも電話してくれ」「はい!」 上山はひと言、云うと、部下の手前、すぐ携帯を閉じた。相も変わらず、上から目線の滑川(なめかわ)教授だった。 昼休みといっても社員達は上山の目の届くところに必ず何人かはいる。…
「機械が故障した? …いや、そんなことは考えられん。昨日(きのう)、点検したばかりじゃからのう。どうもその辺りに何かあるような気がしてならん」「はい、私もそう思います…」 二人は腕組みをすると沈黙した。幽霊平林も遅れて腕組みをした。三人は妙な…
「そうなのか?」「はい、まあ…」 上山は事実のままを云った。「私が云えることは、…やはり霊が発する霊波が我々人間の心と何らかの周波数が合った時、君が云うような現象が起こり得る、ということだ」「それは相当、確率の高いことなんですか?」「ああ。確…
「落ちついたとは?」「はい。彼は興奮したとき、青火が灯るシステムになっているようなのです」「システムか…。上手く云いおるのう。まるで、ここにある霊動探知機と同じではないか、ハッハッハッ…」 滑川(なめかわ)教授は珍しく大笑いした。「その平林と…
「はい…。実は、佃(つくだ)教授が名づけられたゴーステンなのですが、この土と密接な関係があり、これと粘土で作られるそうなんです」「それが、どうかしたのか?」「はい。そのゴーステンで私達の、…いや、私達の、と云いますのは、先ほど申しました死ん…
「そうだが、怖くないのかね、君は? 科学者の私だって、こんな夜分にゃ、少し怖いぞ」 まったく怖がらない上山に、教授は、━ この男、ただ者じゃないぞ ━ と、少し不気味さを感じた。「いやあ…、この前云ったと思うんですがね。あっ! すみません。あれは佃…
『それじゃ、僕は興奮を抑えてから入ります。でないと、青火を教授に見られちゃ拙(まず)いでしょ?』「ああ…、今のところは、な。いや、そうじゃないかも分からん。君の青火が灯っていた方が教授を説得しやすいかも知れんからな」『はあ…』 幽霊平林は俄か…
『それじゃ、僕は興奮を抑えてから入ります。でないと、青火を教授に見られちゃ拙(まず)いでしょ?』「ああ…、今のところは、な。いや、そうじゃないかも分からん。君の青火が灯っていた方が教授を説得しやすいかも知れんからな」『はあ…』 幽霊平林は俄か…
「すまん、すまん。…別に、からかった訳じゃないんだが…」『まあ、いいですよ。それより、先に教授のところへ、ひとっ飛びして、様子を窺(うかが)ってきましょうか?』「便利なんだねえ…、羨(うらや)ましいよ。まあ、出来たらそう願いたいが…。しかし君…