水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -135-

 天界から神様や仏様が人間の縮図を観ておられるとすれば、愚か、面白さ、幼稚さ、醜(みにく)さ、利口さ、悪どさetc.が手に取るようにお分かりになるはずなのである。まあそれも、人の人たる所以だ…と考えれば道理に適(かな)う訳である。
 岩口は考えなくてもいいのに、アレコレと小一時間も考えた挙句、結論を得ることもなく、頭脳を休めることにした。すでに九時過ぎになり、窓の外は黄昏(たそがれ)て漆黒の闇に閉ざされようとしていた。そのときふと、岩口は砂場が企画し一件を想い出した。神輿(みこし)の担ぎ手としてアルバイトをネットで募集する際、上戸町の伝統産業である和紙を世の中に広めるためコラボしようという企画だ。
『伝統の和紙製造は、言うまでもなく紙[神]作りだから造化の三神的な感がしなくもない…』
 岩口は膨らませなくてもいいのに、またまた風船のように発想を膨らませた。膨らませ過ぎると破裂しますよ。^^
『造化の三神は別天津(ことあまつ)神の最初の三神である天之御中主(あめのみなかぬしの)神、高御産巣日(たかみむすびの)神、神産巣日(かみすびの)神だが、骨太(ほねぶと)神社が勧請してお祀りしている天常立(あめのとこたちの)神は、その次に現れられた宇摩志阿斯訶備比古遅(うましはしかびひこぢの)神のあとに現れた神だったが…』
 岩口が考えたとおり、別天津神はこの五柱である。岩口は三竦みと関連づけようと、また考え始めた。
『紙にもいろいろあり、程度の高い紙から質の悪い紙まで様々だ。上戸町の紙は高級紙としてこの近隣の町にはよく知られている。コラボの企画が全国に知られるように成れば、これはもう神[紙]様万歳! の展開になることは疑う余地がない…』
 岩口は紙と同じように神様もいろいろおられるな…と発想した。神とアルバイト募集のコラボ企画が双方ともによく似た存在と岩口には映ったのだった。
『まあ、砂場君に任せておけば、企画は上手くいくと思うが…』
 さすが、プロだけに知識には長けている。発想を仕事に戻した岩口は小腹が空いたのでキッチンへ向かった。子供達はテレビゲームを終え、子供部屋に入ったようだった。
「あらっ! どうかしたの?」
 冷蔵庫を物色していた岩口に美登里が気づいて声をかけた。
「いやなに…小腹が空いたんだ」
「おうどんなら、すぐ作れます…」
「じゃあ、頼もうか。硬めで…」
 神の恵みか…と、世の中の事象の全てがグ-、チョキ、パ-という三要素で構成されると考える岩口は瞬間、うどんの恵みに思った。ただの、うどんです。トラウマにならない程度に考えて下さい。^^

                  続