水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

代役アンドロイド  -61-

 ともかく、これで万全だと保は思えた。部屋で沙耶は眠ったよう停止しているはずだ。プログラムをインストールしたチップを持ち、保はパソコン椅子から勢いよく立ち上がった。
 沙耶の部屋へ入ると、案の定、彼女? は停止してベッド上に横たわっていた。
「沙耶、出来たから交換するぞ」
 黙って入れ換えてもいいのだが、保には沙耶に対して機械とは思えない感情が芽生えつつあった。だから、ひと声かけていた。沙耶は保の声をすぐ感知して目を開けた。
『うん!』
 返事だけすると、沙耶はふたたび目を閉じた。
 保はまず主電源を切る。続いて格納場所のICチップを、ゆっくりと引き出し、新しいチップと交換、そして収納した。で、ふたたび電源を投入した。これで、電源を切らない限り、自動システムで必要電力を発電しながら動き続けることが出来る。もちろん、以前決めた10日に一回[1、10、20、31(28、29、30)日]のメンテナンスはせねばならないのだが…。
「沙耶、もういいよ」
『もういい…。なんか、かくれんぼ、じゃない?』
 沙耶は目を開けると、ゆったりと上半身を起こし、両脚を床(ゆか)に下ろして微笑んだ。
 保はこの瞬間、完璧だ! と思った。今まで以上の感触があった。