『とりあえずは、危機を脱しましたか…』
天常立(あめのとこたちの)神が上空に現れ、切川クリニックを透視された。
『常立神様、流石(さすが)、お見事なものですわ、ほほほ…』『ほほほ…』
天照大(あまてらすおおみ)神がにこやかにお笑いになった。比売(ひめの)神も同調された。
かくして、黒原の意識が戻らないことで、骨太神社の神々と岩口家の危機は取り敢えず食い止められた。むろん、そのようなことになっていようとは、岩口家の人々はまったく知らなかった。
黒原の昏睡状態はその後、二週間ばかり続いた。そして、岩口家の一行が海外旅行から戻ってきた。
「どうでした? 煮込(にこみ)さん、留守中、何か変わったことは?」
「それが大有りでしたの、ぼっちゃん。ドジョウが出てきてこんにちわっ!」
相変わらずの蕗(ふき)のダジャレが炸裂した。
「何がありました?」
「それが…、ぼっちゃん、黒原さんという方、ご存知ですか?」
「黒原? ああ、私の遠い親戚筋の方だと思いますが…。それが何か?」
「八日、九日十日。訪ねてこられましてね…」
笑顔の蕗が真顔になった。
続