水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策  -103-

  「ドォ~タラ(ドォノォ)~~コォ~タラァ(コォノォ)~~~」
 しばらくして、祭礼用の祝詞(のりと)を上げる上げる岩口の姿が拝殿にあった。
『今年もご苦労様ですわね…』
『ははは…まあ、ここに仕える職員のようなものですからな…』
 主祭神の天之常立(あめのとこたちの)神が春日大社から分祀(ぶんし)された比売(ひめの)神に応じて話しかけられた。今朝は珍しく天空ではなく神殿で過ごされている三柱(みはしら)の神、女神が祝詞を上げる岩口を窺いながら語り合っておられた。
『春になりましたのね…』
 そこへ、伊勢神宮から分祀(ぶんし)された天照大(あまてらすおおみかみ)神が寛いだ声で話に加わられた。
『岩口さんは、町役場とここのお務めで大変ですな…』
『ほほほ…切川さんの鋏で切られないよう、私達を守って頂かないと…』
『ほほほ…それは言えますわね』
 両側に挟まれ、二神の女神に語られては、さすがに天之常立神も語れず、笑顔で頷く他はなかった。^^ 天界でそんな話が盛り上がっていようとは、祝詞(のりと)を上げる宮司の岩口が知る由(よし)もない。