水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -180-

「ほう、そんなことがありましたか…。で、どういったご用件で?」
「それなんですがね。私にはよく分からないんですが、少しお訊ねしたいことがあるとか、財布の中身…」
「…。訊ねたいことですか…」
「はい…。私には分かりませんから、氏子総代の切川さんにお頼みしたんです」
「それで?」
「二週間前、黒原さんがお見えになり、社務所で切川さんとお会いになったんですが…」
「それで、お訊ねの内容は?」
「お倒れになりましたので、それが分からないんですよ…」
「黒原さんは今、どこに?」
「昨日、切川クリニックを退院され、お帰りになりました…」
「切川さんは黒原さんの用向きをお訊きになったんですか?」
「それが不思議なことに、黒原さん、私は何故ここにいるんですか? などと、何かに抓(つま)まれたようなことを申されたようでして…」
「ここへ来た目的を忘れられたんですか?」
 不在の間の奇妙な出来事に、岩口は驚かされた。