水本爽涼 歳時記

日本の四季をベースにした小説、脚本、エッセイetc.の小部屋です 

コメディー連載小説 三竦(さんすく)みが崩れた岩口家の危機打開策 -243-

 ここは枉神(まがかみ)の本拠がある黒雲の上である。
『ど、どうしたことじゃ! 岩口の上司への憑依(ひょうい)が上手くいかぬぞ…』
 枉神は念じた霊力が撥ね返されたことに驚いた。何かが起きたのかも知れん…と感じた枉神は枉命(まがみこと)にテレパシーを送ることにした。
『儂(わし)じゃ! どうぞ…』
『はい、枉神様でございますか? どうぞ…』
『そちらで何か変わったこと起きておらぬか? どうぞ…』
 枉神は、『また枉神と呼びおった。儂は神じゃ!!』 と怒れたが、グッ! と堪(こら)えて訊ねた。
『はあ、まあ…。岩口さんが部長室へ呼ばれましたが、それ以外は特に変わったことはござりませぬ。どうぞ…』
『そうか…。上司の設楽の様子はどうじゃ? どうぞ…』
『一瞬、眩暈(めまい)を起こされたようなことが。どうぞ…』
『一瞬、眩暈は起こしたのじゃな? どうぞ…』
『はい、ほんの一瞬でしが、すぐに元へ戻られました、どうぞ…』
『元に戻られては困るのう、どうぞ…』
 予想外の進展を枉神は愚痴った。